Background Story
設立の背景

戦後の日本社会は高度経済成長期を経て大きく発展してきました。欧米とも肩を並べる経済大国となり、国民の経済的・物質的な面はとても豊かになりました。一方で、その経済的な発展の裏面では、コミュニティとつながりの希薄化・弱体化が進行します。

親戚との付き合いは縮小し、大家族も減少、世帯人数も減っていきました。大家族に代わって核家族が増えるとともに、今では単身世帯(一人暮らし)が家族類型の1位(約40%)となっています。生涯未婚率(50歳時未婚率)も上昇の一途をたどり、男性で約30%となっています。「血縁」による関係やコミュニティが弱体化してきています。

高度経済成長期を支えた会社・職場のコミュニティも今ではかつてのような姿ではなくなりました。バブル崩壊後の成果主義を起点とした年功序列制度の見直し、非正規雇用の増加、転職市場の盛り上がりなどによって、昔のような家族的な雰囲気は維持できなくなりました。会社・職場の人間関係やコミュニティは、機能的・契約的な関係の色合いが強くなりました。

地域社会にもコミュニティとつながりの希薄化・弱体化の波が襲いかかります。戦後の都市化の流れの中で、人々は地方から都市部に移動し、生まれ育った場所とは違うところで暮らしを築き始めます。
そのときに生活・暮らしの頼りにしたのが地域コミュニティや隣近所のつながりではなく、消費によるサービスでした。コンビニエンスストアやAmazonなどのネットサービスなどが誰でも利用できるようになり、インターネットの発達なども相まって、誰にも頼らず1人でも生きていける社会が完成していきます。
高度に発展したテクノロジーとインターネットと消費社会は、人々が共同で生活する上で必要だったコミュニティとつながりの必要性を大きく低減させることになりました。そして1人で自由で快適に生きることができるような社会構造になった結果、待ち受けていたのは孤独孤立が蔓延する社会でした。生活していく上で物理的に人とつながる必要がなくなった社会は、精神的なつながりも同時に失うことになり、自殺やうつや児童虐待や孤独死など、“孤独孤立にまつわる社会問題”が噴出する社会となりました。



いま日本社会は大きな転換点(ターニングポイント)に立っていると思います。人口減少に伴うAIやロボットの発達は、ますます仕事・職場という生産の現場において人間関係を希薄化させて行くでしょう。サービスや消費の現場においてもロボットが多く活躍し、購買・消費活動においても人間関係は希薄になっていくでしょう。子育てや介護の現場においてもロボットの手を借りることが増えていき、お世話やケアの世界(福祉の世界)においても人間関係は希薄になっていくでしょう。
そのとき、人間が「コミュニティ」や「つながり」を求めなくなる世界がやってくるとも予想できますが、それはまったく逆だと思います。生活する上で必要だった(あるいは副産物として常に獲得されていた)「コミュニティ」と「つながり」から、意図的に主体的に選択的に求め獲得する「コミュニティ」と「つながり」へとシフトしていくと考えています。
これから先(数十年間)の日本社会は、「コミュニティ」と「つながり」を現代的・未来的に構築していくことが時代の大きなテーマになると考えています。経済活動・消費社会の発展によって「コミュニティ」と「つながり」が崩壊・解体してきた歴史と、AIやロボットやICTなどのテクノロジーの発展によってますます機械的・機能的になりやすい未来社会という予測を踏まえると、これからの日本社会はヒューマニティ(人間中心・人間らしさ)に富んだ「コミュニティ」と「つながり」をどう構築していくかが大きなテーマになっていきます。